まちづくりのひろば

子どもたちの未来のために

「地域×デザイン」〜美と共感力で社会的課題に取り組む〜

11月8日(水)18時半から橋北交流館で行われた筧裕介さんの講演会(四日市市役所 市民協働・安全課主催)に参加しました。

 

○課題先進国「日本」

明治期以降の産業発展、急激な人口増加、そして高齢化、人口減少と推移する日本は常に世界で真っ先に課題に直面する「課題先進国」と言える。

・日本の人口     2017年:1億2672万人→  2117年:4,959万人(推計)

・夫婦あたり出生数  1982年:2.23人   → 2015年:1.94人

・生涯未婚率(50歳時点)1985年:4.3%    → 2015年:20.1%

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四日市の場合、転入者を増やすと人口が増えやすい)

 

○筧さん、課題+designの取り組み

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・震災+design

現場でボランティアの得意分野などの情報が一目でわかる情報ツールを考案。

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情報カード

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「できますゼッケン」

 

・国内観光+design

旅のガイドブック作り〜「福井人」 人や料理にスポットをあてる新しい切口

 

・ローカル鉄道+design

沿線を楽しむ手作りコースを住民、関係者と共に考案。

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・地域創生+design

 2013年11月、高知県佐川(さかわ)町の堀見新町長より総合計画づくりを依頼される。総合計画の目標として、「住民のしあわせ」をゴールとして設定した。

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長続きする幸せをとして「非地位財」を指標として各県の幸福度を調査したところ、沖縄や鹿児島県など暖かい地方が上位となった。因みに三重県は34位。

前向きで、楽観的な気質が、幸せに寄与すると考えられる。また人間関係が豊かであれば幸せ。「親友」(深い関係)より「友人」(ゆるい関係)が多い方が幸せ。広く多様な弱いつながりがより幸せになるために必要。

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 幸せは連鎖する。〜「幸せな人の知人は幸せ。」「孤独は喫煙より体に悪い。」

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総合計画策定のため、住民ワークショップを2年間で17回重ねて行なった。子どもからお年寄り、学校にも参加を呼びかけ、1万3千人の町で300人の住民が参加。「25のビジョン」を作った。

植物学者、牧野富太郎の出身地であることから「植物園のような町にしたい!」。また町の7割が森林で、人工林が伐期を迎えていることから林業での町おこしを目指す。

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「さかわ発明ラボ」〜デジタル工作機械(3Dレーザーカッター・ショップボット・3Dプリンターなど)を揃え、個人が木工製品を生産することが可能に。発明職のインターシップを行い、最先端のアイテム(例:「Write More(ライトモア)」を開発。

「さかわ散歩の達人」〜集まりたくなるベンチづくりワークショップ。散歩道に休憩するためのベンチがほしい。場所の選定とベンチのデザイン・製作(ダンボールで試作、ショップボットで加工)。

「プログラミング教育」〜小学校5年生の授業で動物ロボットの電子工作を行い、プログラミングもあわせて学ぶ。

 

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行政トップや行政職員の意識の高さが、住民の力を引き出し、豊かさや幸せをもたらします。佐川町の例は特別ではなく、行政が筋道を示し、ボトムアップの仕組みを作れば、まちは自然と良くなります。現実的には役所の中に意識の高い30代〜40代の行政マンがコアになって庁内に仲間を増やすことが大切だそうです。

 

(おわり)