すばらしい京文化〜「舞妓はレディ」を鑑賞
「Shall we ダンス?」で有名な周防正行監督の「舞妓はレディ』を鑑賞。
花街(かがい)のことは利用した方でないと中々わかりません。“一見さんお断り”の京都祇園ならなおさら。
この映画は客に夢のような時間を演出し、最高のおもてなしをする京都の花街の伝統美を紹介しながらも、ミュージカル風(マイフェアレディ風)の演出をまじえて楽しませる映画です。
主人公の舞妓見習いの春子(小春)は上白石萌音。とっても素朴な少女。映画は彼女が花街で舞妓としてデビューするまでの成長物語です。
鹿児島弁と津軽弁のなまりを持つ彼女は京なまりを体得し、克服することが目標。マイフェアレディと違うのは舞妓の修行は言葉だけではないことです。お姉様方の手伝いに、茶屋の掃除、そして踊りに唄に三味線、座敷芸の「しゃちほこ」など。彼女がきっかけをつかみ、京なまりや踊りをマスターした場面では涙が誘われました。
脇役陣が強力です。三十路の舞妓役に田畑智子。「Shall we ダンス?」の草刈民代、渡辺えりこは芸妓、竹中直人は男衆(おとこし)役で出演しています。
茶屋の女将千春役の富司純子は慈悲深い“茶屋のおかあさん”を好演。“「一見さんはお断り」はお客のこと(好み)を知っていなければ最高のもてなしができないから”という話は説得力があり、感動しました。
言語学者の先生役の長谷川博己は若すぎたかも。貫禄が不足していました。
先生の助手、西野(濱田岳)に華やかな“舞妓・芸妓も客観的に見れば水商売”と言わせているように花街の伝統・美しさを讃えるだけでなく、現実の側面も伝えているところに誠実さを感じました。
日本人として知っておくべき“京の文化・風俗”を体験できる映画です。是非ご鑑賞を。
(おわり)