まちづくりのひろば

子どもたちの未来のために

「コミュニティデザインの時代〜自分たちで「まち」をつくる」読後感想など

山崎亮氏、コミュニティデザインについての著書。

ひと昔は「住民参加」と言っていたが、住民はお客さんではなく“まちづくりの主役”という意味で「住民主体のまちづくり」を目指すものであり、お客さんの立場に慣れていた住民をどうやって主体的にまちづくりに取り組ませるかが“コミュニティデザイナー”の腕のみせどころ。

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

 

目次

まえがき

第1章 なぜいま「コミュニティ」なのか

1.自由と安心のバランス

2.まちが寂しくなった理由

3.「昔はよかった」のか

4.人口減少先進地に学ぶ

5.ハード整備偏重時代の終焉

6.まちに関わること

7.パブリックとコミュニティ

第2章 つながりのデザイン

1.宣言について

2.まちの豊かさとは

3.コミュニティとデザインについて

4.肩書きについて

5.ブライアン・オニールという人

6.変化するコミュニティデザイン

第3章 人が変わる、地域が変わる

1.人が育つ(中村さんの場合)

2.コミュニティ活動に参加する意義(小田川さんの場合)

3.チームについて

4.中山間離島地域に学ぶ

5.集落診断士と復興支援員

第4章 コミュニティデザインの方法

1.コミュニティデザインの進め方

2.ファシリテーションと事例について

3.地域との接し方

4.雰囲気について

5.資質について

6.教育について

7.行政職員との付き合い方

8.コミュニティの自走

あとがき

 著者によるとこれからのコミュニティデザインは「ものをつくることを前提としないコミュニティデザイン」。住民自らがテーマを掲げ、行動し、解決し、創り上げる。

自分の経験から、ある目的を持って集まった方たちはある程度主体的に動いてくれるが、そうでない場合どうしてよいかわからなくなる。ワークショップでは現地調査、問題点の抽出くらいまでは面白がってくれるが、プランの立案以降は興味をなくされることが多い。なかなか行動まで結びつかない。

著者は決まったやり方はない、参加してくれたまちの人の顔を見てやり方を替えるとのこと。経験の蓄積と現場にどっぷりとエンドレスに関わるのでなければ成し遂げられない仕事である。

これからのまちづくりはこの方向であろうが、地元でこのような人材をつくることは難しい。コミュニティデザインに精通した“ヨソもの”にお願いし、住民の潜在力を引き出すことが地域活性化の近道だと思う。

(おわり)