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まちづくりのひろば

子どもたちの未来のために

「おカネで世界を変える30の方法」の読後感想

地域づくり

前回に引き続き、田中優氏の著作から。「お金を上手に使えば社会が良い方向に進むことができる」という観点から書かれた16人の執筆によるエッセイ集です。

おカネで世界を変える30の方法

おカネで世界を変える30の方法

 

目次

第1章 おカネとぼくらの未来

第2章 おカネのしくみ・おカネの機能

第3章 おカネのオルタナティブ

第4章 行政にどうしても頼みたいこと

第5章 それでもダメなら自分たちでつくる

本書の概要

・第1章は、私たちが銀行や郵便貯金に預けたおカネが米国の軍事費になったり、環境破壊につながる公共事業に使われているという話。巨額の資金を持つ機関投資家によって引き起こされる通貨危機。これを抑制するために提唱されたトービン税が紹介されています。

・第2章は「日本の借金」「24時間労働」「働く者を大切にしない多国籍企業の儲け方」などについて、おカネが果たしているしくみや機能について記しています。

・第3章の“オルタナティブ”とは既存のものが新しいものに取って代わること。

①貧しい人々へ融資である「マイクロクレジット」が有効に機能するためには、情報と技術も同時に与えなければならない。

②企業の社会的責任投資は株主の存在により限界がある。

③モノの価値とおカネが結びついた地域通貨は、円が暴落しインフレになった時に役立つ。

④地域におカネが流れるしくみ ~ゲゼルの「自由通貨」とは時間と共に価値が減っていくおカネ。おカネは貯金させずに早く使わせる。

フェアトレードは貧しい生産者を救う。

NPOバンクは社会貢献のための「小さな可能性の芽」を育む。

⑦自給生活や長寿命住宅におカネを使う。

・第4章は行政がすべきこと。

①環境や社会に「良いモノや活動」(グッズ)には税金を下げたり、免除したり、補助金を出したりして進め、逆に「悪いモノや活動」(バッズ)には重い税金をかけて抑えていく考え~「グッズ減税・バッド課税」。

②行政の最大の役割は金持ちから税を徴収して、貧乏人に与える「所得の再配分」。

③おカネ儲けのためでない、おカネを自分でコントロールする金融教育が必要。

・第5章はおカネに使われない暮らしについて。人のつながりをつくり、地域におカネを流すことができる朝市。おカネの主人になる生き方をする。

 

田中優氏や他の著者が目指している方向に間違いはないと思いますが、やはりNPOバンクになけなしの預金を預けるには勇気が要ります。第一お金の出し入れなど利便性の面でどうかと。まずは地方の銀行や信用金庫への移行を考えます。

本書で一番共感したのは、行政の役割は「所得の再配分」と言い切っているところ。最近の政治や役所のやり方はまるで逆。これでは彼らに存在価値はありません。

環境問題、自給自足、持続可能性などとおカネを結びつけ、“世界を変える”とっかかりがたくさん示されているこの本は、未来の世の中の全体像をつかむ上でとても有用だと思いました。

(おわり)