まちづくりのひろば

子どもたちの未来のために

これからの地域づくりイメージを持つ

松阪市長 山中茂光さんの講演会『行政と市民が「役割と責任」を果たすまちづくり〜これからの地域づくりイメージを持つ〜』が、先月3月22日(水)19時から、富田地区市民センターで開催されました。

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講演会と意見交換会(対話)の概要を以下に記します。

 

松阪市長への就任時に「市長だけで松阪市を運営していかない、市民の方の多様な声を市政に反映させていく」ことを約束しました。

市民との関わり方

・市民にとって重要な案件においては、行政が方向を決める前に、必ず「市民とのワークショップ、現場視察、積み上げ型のシンポジウム」を行うこととし、この仕組みをシンポジウムシステムと名付けました。

・多くの自治体で行われている、審議会・検討会を経てパブリックコメントを公募するやり方には問題があります。審議会・検討会に出席している代表者が自分の所属組織の多様な声を聞いているわけではないし、パブリックコメントに目を通す人もわずかで、これで“市民の声を聞きました”とは到底言えません。結果として訴訟にまで発展した事例が各地で起きています。

松阪市においては「市庁舎の建替」「市立病院のCT導入」「山間部の風車事業」など市民の声を聞かずに方向性が決められていた事業が先ずシンポジウムシステムで行われました。いずれも市民との対話により、事業費の縮減、行政・病院などの立場や運営への理解が深まる結果となりました。介護保険料、コミュニティバス、保育園民営化、都市計画線引きなどについても対象となりました。

 

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地域づくりのあり方

・市長就任から3年間で、松阪市を小学校区を基本とした43の地区に分け、住民協議会を作りました。

・従来のまちづくり組織と違うのは、住民協議会は“地域の経営推進会議”のようなものだということ。

・“自分たちの地域のことなのだから、若い世代の方々や、女性の方々、そして様々なNPOの方々が日常から一緒になって、物事を考えていく”、そういう組織をみんなで作っておき、頑張っている地域に対しては行政も一定のルールの下で必ず支援をします。

・住民協議会では「行政がやるべきこと」「地域と行政が一緒になって出来ること」「地域でやることが出来ること」について、責任を明確にして計画を立て、共有する「地域計画」を策定します。この地域計画については行政の計画にも必ず反映させます。

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住民協議会設立のプロセス

①人を集める:地域担当の自治会長、消防団、PTA、障害者団体、NPO(健康づくりなど)、女性、主婦など。最初は強制的にでも皆が2〜3人ずつ集めて、“勉強会”をする。

②役割を決める:女性や若者を会長、副会長の役職につける。“まちづくり協議会準備会(例)”の役職につくことにより、責任感が生まれ、母体の団体の中で話し合い、そしてその団体の参加率が高まる。

③回数を重ねる:勉強会は10回以上行う。運動会や公民館活動などの行事で集まるのではなく、事前のまちづくりの計画の段階から多様な住民の方が集まる“土台づくり”。テーマに応じて行政職員も話し合いに加わる。

 

松阪市では3年間の期限を区切って43地区全てに住民協議会を立ち上げました。「多様な方に参加いただくこと」、そして「回数を重ねること」が自立した住民団体組織を作る上で必須。大変で困難は予想されますがとにかく実行するしかないと思います。地域のまちづくりを放置すれば、世代の断絶、無関心で本当につまらない“まち”になるでしょう。

 

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(おわり)